散り際の美学

栄枯盛衰という言葉がある。国や会社などが一時的に隆盛を誇っても、やがて衰滅に向かうという意味だが、それは人間でも同じだ。盛者必衰という言葉もある。

どんなに素晴らしい人でも、どんなに能力のある人でも、いつか必ず衰滅する時期が訪れる。いくら仕事に恵まれ経済的に恵まれた人でもやがて肉体的に終焉の時期を迎える。

死ぬまで挫折を知らずに幸せに生きれる人はそんなにいないだろう。大概の人は仕事半ばで、人生半ばで、志を折られることのほうが多い。そこから奇跡の復活を果たす人もいれば、それから死ぬまで鬱々と老残を晒す人もいる。

昨日の日本郵政西川社長の辞任会見をみてつくづく感じたことがあった。カメラのシャッター音にクレームをつけ、顔をゆがめて司会者を叱責した後、会見を打ち切るぞと恫喝して見せた。佐藤栄作元首相を思い出した人もいるに違いない。最後の会見で「あなたとは違うんです」と声を震わせて記者に言い返した福田元総理もそうだけど、テレビカメラはアップでその表情を逐一映してしまう。

カメラの後ろには沢山の国民がいると分かっているのに心の高ぶりを抑えることができない。最高学府を卒業した超エリートですらそうなんだから、人間なんて所詮そんなものなんだろうね。でも自分で望まなくても表舞台から退場しなくてはならない時がある。悔しくても悲しくても寂しくても、静かに去らなければならない時がある。


立つ鳥跡を濁さずというより、オレは敢えて「散り際の美学」という言葉を用いたい。謂わば武士(もののふ)の心構えというべきだろうが、残念ながらもはや今の日本に武士は存在しないのかもしれない。田中角栄を見ればいい。小泉純一郎はどうだった?散々特定郵便局長の世襲を糾弾しておいて、親ばかだから、といってしゃあしゃあと自分の次男を世襲させた。余りにも散り際が無様過ぎる。

今回の西川さんも政治に翻弄され続けた挙句、鳩山邦夫にいじめられ、そして今度は亀井さんだ。オレは常々テレビに映るあのいじめられっ子顔の西川さんが可哀そうと思っていた。でも昨日の辞任会見を見て考えが変わった。

それにしても次の日本郵政社長に選ばれたのは元大蔵次官。バリバリの官僚出身者だ。いったいどうなってんだ民主党!!余りにも国民を舐めたことをすると、散り時は意外と早くやってくるかもしれんぞ。







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2009年10月21日 Posted by臥游山人 at 18:01 │Comments(0)日々雑感

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