合掌

ある時、浪曲漫談のさがみ三太師匠と二人で飲んでいて、「今度の慰問、誰に出演してもらおうかな?」と、相談したら、「牧さんでどうだい?」と、いきなり大物の名前が飛び出した。

「いやぁ、こんな田舎の貧乏NPOの慰問に来てくれますかね?」とオレが言ったら、三太師匠がいきなり携帯で誰かと話し始めた。

「やあ牧さん、これこれこういうわけで、今度清水に来てくれない?」思わず耳を疑ったが、相手は間違いなく牧伸二師匠のようだ。

「じゃあ、お願いね」と、三太師匠は電話を切り、事もなげに「来てくれるってよ」とオレに言った。

そして当日、牧伸二師匠が本当に来てくれた。安い出演料なのにたっぷり熱演していただき、お年寄り達を大笑いさせてくれた。当然さがみ三太師匠も、殆どノーギャラで友情出演してくれた。






牧師匠は、わずかに後遺症が残っているようだったが、舞台に上がれば元気そのものだった。












それが、、、今朝突然テレビから訃報が流れてきた。それも、自死の可能性が高いという。一瞬オレの頭に、ポール牧さんのことがよぎった、、、


芸人は、どんなに辛いことや悩んでいることがあっても表には出さず、いつもお客さんを笑わせることを考えている。例え自分の身内に不幸があっても、相方にさえそれを告げず舞台に立ち続ける。オレはそれを何度も見ている。

笑いの陰にある涙。華やかさに隠された翳り、、、


牧伸二師匠、長い間ご苦労様でした。お疲れ様でした。どうぞ、ゆっくりお休みください。合掌。




  
タグ :牧伸二


2013年04月29日 Posted by 臥游山人 at 15:34Comments(0)日々雑感

禁酒令


4月1日は三日月会の陶芸教室だったが、この日は、同じ三日月会メンバーである矢野弘典さんのお話を聞く会に変更になった。会場は静岡駅そばの「ホテルセンチュリー」二階にある中華料理「翡翠宮」の一室を借りた。

矢野さんは元東芝ヨーロッパの社長で、経団連の専務理事として日本経済の舵取りを7年間務められた後、中日本高速道路の会長となり、現在は顧問に就いている。名誉ある横綱審議委員会の委員でもある。

又、川勝静岡県知事から委嘱を受け、県地域整備センター長として週に何日か東京から静岡に通っておられるが、昨年、はごろもフーズ会長、後藤さんの勧めで三日月会のメンバーとなった。三日月会は月一回の教室だが、矢野さんは東京の神宮前にある日本陶芸クラブにも所属している。


夕刻5時、後藤さんの挨拶があり、矢野さんの講演が始まった。参加者は20人ほどで、誠に贅沢な会である。若い頃、土光敏夫さんから直接薫陶を受けた話などを披歴しながら、日本のリーダーの条件などを自身の経験を踏まえて話をしていただいた。大変分かり易い話で頷ける点が沢山あった。





話の中で矢野さんは、現在、ある団体の会長もやられていると言われたが、その会の名前に心当たりがあった。それは、亡くなった親父が生前役員を務めていたもので、一時期、弟や妹もその会に所属していた。それは国際的な団体で、日本の代表を相馬雪香さんが務められていた。相馬さんは日本憲政の父と云われる尾崎咢堂の三女で、日本を代表する同時通訳者であった。親父と相馬さんは親友で、親父の葬儀の時には相馬さんが弔辞を読んでくれた。その相馬さんも数年前に鬼籍に入られた。矢野さんはその後を受けて会長になられたのだろうか?

講演が終わり食事になった時、矢野さんにその会の件を訊ねてみた。間違いなく親父が所属していた会だった。そういえば、当時、土光さんもメンバーだった。話せば話すほど共通の知り合いが話に出てきた。矢野さんはアッとしたような表情になり、親父の名前を出し、「会の歴史では有名な方です。その方のご子息でしたか?」と驚いていた。何か矢野さんとの距離がぐっと近づいた気がした。実は矢野さんの陶芸の先生も、オレが若い頃に薫陶を受け、今は人間国宝になられた加藤孝造先生なのである。

世の中は広いようで、実は何とも狭いものだと思う。今回ゲストで参加されたヤマシタコーポレーション社長の山下一平さんは、横浜DeNAベイスターズ二軍監督、山下大輔のお兄さんだ。お二人のお母さんである冴子さんとは、ある団体の役員を一緒にしていて親しくさせてもらっていた。

そんなこともあり、楽しくてついつい飲みすぎてしまった。数日前から何となく体調がよくなかったのだが、この日の飲みすぎが祟ったのだろうか?翌朝は昼まで起きられなかった。医者に診てもらったら気管支の炎症だろうという。当分、酒と、お風呂も遠慮してくださいと云われたが、風呂だけは我慢できず入ってしまった。そのせいか、まだ治りが遅い。でも風呂に入った方が長生きできると聞いたことがあるぞ。風呂長寿、、、なんてね。



  


2013年04月04日 Posted by 臥游山人 at 16:58Comments(0)交遊録