これってオノロケ???
県立総合病院での検査も大体終了し、医師からも症状の説明を受けた。確かその二日後、4月10日頃だったと記憶している。
私は布団に横たわっていた。家内も入浴を済ませ、寝る支度を始めた頃、私は出来るだけの笑顔と明るい声で家内に話しかけた。「一緒になって40年以上になるけど、オレ、本当に楽しかったよ。又生まれ変われたらお前と一緒になりたいな〜」普通ならこんな会話は絶対にしないのに、この日は自然に話せた。
すると間髪入れずに「私もよ」という答えが返ってきた。家内も笑顔だった。そして続けて、「でも、もうちょっと長生きして頂戴」と付け加えた。嬉しかった。
この頃が、自分の命というものを今までの人生で一番意識した時期だったと思う。それだけに、余計に家内の言葉が嬉しかった。これで気持ちがスッと楽になったような気がした。
9時間に及ぶ手術、その後の言葉にならない程のリハビリ。それも家内の言葉で乗り越えられた気がする。そして今、1年に及ぶ抗がん剤の服用が始まった。副作用もいろいろ出てくる。その都度私の顔は仏頂面になる。きっと家内だって辛い気持ちになっているはずだ。
でも家内は愚痴も言わず、笑顔で私を支え続けていてくれる。だから私は今、体全体を家内の愛情に包み込まれて生きている、、、
これって、オノロケかな???